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ビーニー動物園

 

レッスンで使っているテキストの紹介 その2

 

とっても可愛らしい犬の写真が表紙になっていて、犬好き、動物好きのお子さんならワクワクしそうなテキスト。

こちらはアメリカの作曲家、ピアニスト、ピアノ教師でもあるキャサリン・ロリンによる作品集で、タイトルに動物や鳥など生き物の名前がついています。

 

タイトルの下には曲のイメージを掻き立てる歌詞がそえられています。

英語から翻訳されているのですが、日本語が生き生きしてとても読みやすく、よく考えられた上手な訳だと思います。

そして、無理にメロディに日本語を当てはめることなく、楽譜には英語の元の歌詞だけが書かれているのも気に入っています。

英語に興味がある生徒さんならば、英語のイントネーションと音楽のリズムの強弱の関係を歌って感じ取ることもできますね。

 

動物はだれもがイメージしやすく、蛇のようににょろにょろと、とか、カンガルーのようにジャンプして、など音楽表現の入り口には最適。

ロリン氏が、我が子が動物のぬいぐるみで遊びながら空想を膨らませている様子を見て、作曲のイメージがわいてきたと書いているように、どの作品にも子どもの想像力への暖かいまなざしが感じられます。

 

曲は長すぎず、短すぎず、集中力を途切れさせずに弾ききるのにちょうど良く、音階や指くぐりなどのテクニックは出てこないのに、ピアノの低音域、高音域をうまく使い分け、大きな世界観を表現できるよう工夫されています。

 

数種類の音符の長さと4分の4拍子,4分の3拍子が理解できれば、自力で楽譜を読んで弾けるようにできており、ワルツやマーチといった古典的な拍子感だけでなく、ロックやジャズ、スウィングなど、色々なジャンルの音楽に通じるリズム、ビートを体験することが出来ます。

 

前回紹介したリトルコスモスが、芸術としての音楽を教えるためのテキストで、音楽を語るために必要なタッチや聴き分ける耳を初めから要求するのに対して、ビーニー動物園は幅広い層に音楽に親しんでもらえる入り口の広さがありながら、生徒さんの年齢や興味に合わせてプラスアルファの勉強にもつなげられるように考えられています。

 

アプローチは違えど、目指すところは案外近いのかもしれません。

どちらも興味深いテキストです。