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ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

 

気温は低いけれど風もなく穏やかなお正月。

 

上野の東照宮、ではなく国立西洋美術館に初詣に行ってまいりました。

 

ベルクグリューンというのは美術コレクターの名前だそうで、青の時代から晩年までのピカソ作品の他、クレー・マティス・ジャコメッティのコレクションの展示も。

冬休み中とあってお父さんやお母さんと一緒のお行儀のよいお子さまの姿も見られ、和やかな雰囲気。

ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展

 

ハインツ・ベルクグリューンは1914年にベルリンでユダヤ人の家庭に生まれますが、1936年、ナチス政権の抑圧を逃れてアメリカに渡り、フリーの美術ジャーナリストとして活動した後、サンフランシスコ美術館に勤務。第二次世界大戦従軍後は、パリで画廊を開き、やがて世界的な画商となります。作品のみならず芸術家の人となりにも深い関心を持ち、ピカソ、マティスなどの作家や詩人、文学者と親交を深めます。自分の心に適う限られた作家の作品収集に専念し、一貫性のある個性豊かなコレクションを作り上げました。
コレクションはジュネーヴ美術博物館、ロンドン・ナショナル・ギャラリーで展示された後、東西ドイツの統一を背景として、1996年からベルリンのシャルロッテンブルク宮殿に面した建物で公開されました。その圧倒的な成功を受け、主要作品は2000年にドイツ政府とベルリン市の資金援助によりベルリン・ナショナルギャラリーに収蔵されますが、これは同国の美術館史上最も高額な購入のひとつです。2004年には彼の90歳を記念しベルクグリューン美術館と改称、ベルリン国立美術館群のひとつとして、またヨーロッパの重要なモダンアートの展示紹介の場として活動しています。 2007年にベルクグリューンが他界した後も、遺族が美術館への支援を続け、多数の作品を寄託しています。(展覧会サイトより)

 

美術展って、「この画家、明らかに病んでるよね・・・・」と辛くなるような事も正直ある。

 

で、解説を読んでみるとアル中だった、とか晩年は精神を病んで入院、みたいなことが書いてあって、あーやっぱり、と会場を出るころには自分もどんより〜みたいな(敢えて落ちるところまで落ちるために観に行くって場合もあるかもしれないけど)。

 

でも今日の展示はプラスのエネルギーにあふれていて、ピカソの戦争中に書かれたという「大きな横たわる裸婦」(上の写真)でさえも暗いけれど病んではいない。

これだけの作品を一代で集めたってベルクグリューンさん、あなた何者!!

 

ピカソの晩年の作品を見ていたら、不意にこれって一昨年青森の美術館で見た縄文の土偶たちにそっくりじゃん!と思えてきた。あの素朴で力強い感じ、通じるものがある?

 

音声ガイドは長谷川博己さんのナレーションでした。

俳優長谷川博己!を前面に出さず、案内役に徹しているのが聞きやすい。長谷川さんの身体を通して(使って?)役の人間像が伝わってくるような演技をする俳優さんだからかな。

あと、ボーナストラックの館長さんのお話も良かったです。お話お上手でした。

 

 

パウル・クレーのコーナーも充実していていました。クレーは好きな画家なのです←展示がある事も知らずに勢いで観に行ったヒト(笑)

絵にリズムがあるよね、と思っていたらどうやら音楽家でもあったらしい!


たくさんある作品の中でこの「子供の遊び」がとても印象的でした。子どものピアノの楽譜の表紙がこんな絵だったら楽しいだろうなぁ、なんて。

 

帰りにミュージアムョップで複製画を買っちゃおうか、としばらく迷って今日のところは自制したけれど、まだ若干あきらめきれていない…

 

 

たっぷりとピカソ展を見た後、常設展を足早に通り過ぎて向かった先はドラクロワ、シャセリオ―が版画で描いたゲーテやシェイクスピア戯曲の名シーン。

ファウスト、マクベス、オセロ、ハムレットなど、これが想像以上に充実の展示でしばし見入ってしまいました。当時はこのような衣装で上演されていたのかな、と想像を膨らますのも楽しい。

この挿絵を見ながらセリフを聴くだけでもお芝居を観た気分になれそうだなぁ。

ドラクロワは版画もやはりドラマチック!

 

隙間時間にちらっと入った美術館で出会う絵も良いけど、今日のように一日予定がない状態でゆっくり絵と対峙できるのは久しぶり、


ご利益ありそうな初詣?となりました。