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神奈川フィル 音楽堂シリーズMozart Plus

 

2018年、第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールで第2位を受賞して以来国内外で大活躍のフォルテピアノ奏者、川口成彦さんプロデュースのモーツァルト祭り。

思い立って行ってきました。こんなことができるのも冬休み中だからこそ。

 

レオポルト、ヴォルフガング・アマデウス、そしてその息子のフランツ・クサヴァ―(末っ子4男の彼は、父親の死の4か月前に生まれたそうです)モーツァルト家3代の作品を並べたプログラム。

 

そして使用するピアノもドンと3台。

1814年製オリジナルのブロードウッド、415Hz←ほぼ半音低く聞こえる!

1795年頃のヴァルター&サンズの復元楽器、432Hz 

そして現代のスタインウェイ&サンズ 440Hz←これ442Hzではないところがすごい。今日のコンサートの後、戻し調律するのかしら。

 

最初に演奏されたブロードウッドは実によく語り、よく歌う楽器でした。

当時の楽器の表現力は決して今のピアノに負けていない、というか今のピアノとは目指す方向が違うのでしょうね。弱音がとても美しい。プレトークで川口さんがピアノが生まれた当時の最大の“売り”は弱音が出せること!とおっしゃっていました。

産業革命で鋼鉄製のフレーム作成が可能になり、またコンサートホールが巨大化すると次第に大きな音を出せるが求められるようになるのですね。

 

スクエアピアノは家庭用の、今でいうアップライトピアノの位置づけの楽器だったそうで、ふたを閉めれば見た目はほぼテーブル。数人でひょいと持ち上げてすいすい運べてしまう。現代のピアノの移動の大変さ、置きたくても置けない住宅事情などを思うと、これ復活させてもいいんじゃないかしら?と真剣に思う。実際、自分で調律できないと無理でしょうが。

 

続いて演奏されたのはレプリカ(複製)のヴァルターピアノ。

モーツァルト時代のオリジナルの管楽器(オーボエ・クラリネット・ホルン・ファゴット)との共演でW・AのクインテットK452。ピアノに限らずモダン楽器、古楽器どちらも精通している方がたくさんいらっしゃる昨今の日本の音楽界。

ステージで皆楽しそうに真剣に音楽と戯れていて、もう何ともかっこいいし羨ましいぞ!432Hzが心地よく、これが聴けただけでも今日は来てよかった~の大満足だけど、ここまで主宰であるかなフィルさんがまだ出ていないという(笑)

はい、前半は完全に“川口成彦と仲間たち”でした。

 

休憩の後、かなフィルさんが登場してレオポルトの作品。今日初めてのモダン楽器、作品は18世紀のものだけれど会場の空気が徐々に現代に戻ってきました!

そしてスタインウェイが運ばれて今日のメインの川口さん弾き振りのモーツァルトピアノ協奏曲。

ライブの醍醐味を味わえる終始ワクワクするモーツァルトでした。

弾き振りで室内楽の要素が濃くなり、全体のバランスも普段と違って聴こえます。

指揮者がいるとそれほどオケとコンタクト取らないからかな…。ピアノが横向いていたらオケのメンバーと目も合わないでしょうし。

 

そういえば、6年位前に同じかなフィルの音楽堂シリーズで鈴木優人さんの弾き振りのバッハのチェンバロ協奏曲を聴いたことがありました。少しずつ、そのお名前が知られてきたころ。今や指揮者・プロデューサーとして引っ張りだこの鈴木さん、あの時カーテンコールで団員の皆さんが大盛り上がりだったのがとても印象に残っています。あんなに慕われるってあまり見ない光景でしたが、実は私も開演前の鈴木優人さんのプレトークを聴いてその不思議な魅力にファンになってしまったのです。

 

そして、今日は今日で川口成彦さんのファンになりました。

音楽堂シリーズは攻めた企画もあるので今後も注目していこう。

 

さて、公演前にお隣の伊勢山皇大神宮に参拝していただいたおみくじには、音楽する者の端くれとして嬉しい言葉、戒めになる言葉が記されていました。胸に秘めて大切にいたします。

 

明日は教室の弾き初め会。

御木本メソッドのグループレッスンもやりますよ。

上の写真

①開演前、ここで初めて今日は3台のピアノを使うコンサートだと知る私。

②直前まで調律!

③プレトーク中の川口成彦さん

④休憩中隅っこに移動されたブロードウッド 今のピアノと同じように鍵穴がありました。

木目と脚のデザインが素敵、こんな細い足で支えられる重さなのですね。

⑤アンコールでもう一度聴けたヴァルターの音色。足のペダルはなく膝で操作します。

弱音器は弦とハンマーの間にフェルトを滑り込ませる現在のアップライトピアノの弱音器と同じシステム(尤も今のピアノで演奏時には真ん中のペダルは使わないけれど、昔からあった音を弱める方法とは知らなかった)