· 

弾き初め会

 

2023年の弾き初め会を市内某所で開催しました。

 

12月に入ってから「弾き初め会をやりますよ。」とお知らせをしたので、譜読み中の人、前に弾いた曲を再度練習し直した人など仕上がりはバラバラです。

 

発表の場に心理的安全性が確保されているのが大前提ですが、練習途中であっても今できる能力を精一杯出す「出力」の経験はとても大事だと思っています。

絶対負けない土俵にしか上がらない人は、能力があっても案外伸び悩んでしまうもの。

 

若い人が失敗を恐れて動けない、的な記事を見るたびに教育の方法でいくらでも変えられるのになぁ、と。これは若い人に限った話ではないでしょうが。

 

皆の演奏を聴き、年末年始のレッスンお休みの中それぞれに工夫して練習していた跡が感じられ、これからもっと伸ばしていくべきポイントも発見できました。

 

言い出しっぺが聴くだけでは、と私も急ぎ2曲譜読みをして参加しました。

 

 

 

この日は演奏の前に御木本メソッドとソルフェージュのミニレッスンを少々。

 

ふだんのレッスン室が狭いので、広いお部屋を借りたこんな時こそ、と御木本メソッドのお手玉体操をいくつかご紹介。

 

指先の感覚、個々の筋肉の動きにフォーカスすることももちろん必要ですが、その指先に体のエネルギ―をうまく伝えるためには全身の繋がり、連動がとても大切です。

ただ、この数年大人も子どもも思いきり身体を動かす時間は減っているので意識的にそうした体験をする機会を作らないと、と痛感しています。

 

全身を使って放り上げてキャッチしたり、手首のスナップのスピードで投げたり…。

 

指先の止まりが少し弱くても、全身の連動が良い人は響く音が出せるし、自然と生き生きとした拍子・テンポ感で音楽の流れが良くなります。そして体がほぐれると耳が開いて響きをとらえることができます。

 

いくら指や体ををトレーニングをしても音の聴き方を知らないと演奏は変わらない。

御木本澄子先生が常におっしゃっていましたが、ようやくその言葉の意味を少し理解しはじめました。

理解しはじめた、というよりはきちんと理解していなかった事実に気づいた、というべきでしょうか。

 

耳、体、頭、それぞれの方向からのアプローチを繰り返すうちに、心の中に思い描く音楽が音となって立ち現れる、その時に演奏者の個性が自ずと感じられます。

レッスンをしていてうれしいのはそうした個性が聴こえる瞬間です。